パレスチナ関連文書ライブラリー

40人のホロコースト生還者、パレスチナ人の「集団虐殺」を非難し、イスラエルに対するBDSを呼びかける

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京都大学の岡真理です。

イスラエルは「世界のユダヤ人の祖国」を自称しています。日本の主流メディアでも、イスラエルの主張を「ユダヤ人の主張」と等価なものとして語っている場合が多々、見受けられます。

しかし、世界には、イスラエルを、そしてイスラエル国家の存立基盤となっているイデオロギーであるシオニズムを肯わず、これを批判しているユダヤ人が大勢います。

反シオニストのユダヤ人はこれまでも、イスラエルの政策やシオニズムを批判してきましたが、イスラエルによるガザに対する50日間戦争については、世界の、さまざまなユダヤ人が、組織としても、また個人としても、激しく非難しています。
(昨日、ご紹介したミコ・ペレドの文章もそのひとつです。ガザは私たちにシオニズムの原罪を思い出させる

これから、2本、ホロコースト生還者によるイスラエル批判の文章をご紹介します。

最初にご紹介するのは、ホロコースト生還者とナチスの犠牲者の子孫たちによる批判です。

40名のホロコースト生還者と、ホロコースト生還者と犠牲者の子孫たち200名以上が、イスラエルを批判する公開書簡を発表したことは、すでにこのMLでもお伝えいたしましたが、その続報です。
公開書簡の内容については、以下をご覧ください。
ナチスのジェノサイドの生還者、および生還者と犠牲者の子孫たちは、ガザにおけるパレスチナ人の集団殺戮を全面的に非難する

そして、次のメールで、ホロコースト・サヴァイヴァーである、ノルウェーのユダヤ人指導者、ヘンリー・シグマンの記事をご紹介します。

まず、ホロコースト・サヴァイヴァーのユダヤ人らによる公開書簡の続報についてですが、この書簡は意見広告として、先週の土曜日、ニューヨークタイムズ紙に掲載され、世界的な反響を呼びました。BBCをはじめ、さまざまなメディアがこれについてとりあげています。

そして、25日(月)、公開書簡の新聞掲載を受け、記者会見が開かれ、高齢のホロコースト・サヴァイヴァーも出席し、肉声で、イスラエルに対する怒りの思いを語りました。この記者会見の記事を以下、ご紹介します。

40人のホロコースト生還者、パレスチナ人の「集団虐殺」を非難し、イスラエルに対するBDSを呼びかける

アレックス・ケイン
Mondoweiss/2014年8月26日

ホロコーストのサヴァイヴァーと、ナチス・ドイツによる絶滅作戦の標的とされた者たちの子孫が、ガザにおけるイスラエルの行動を激しく非難し、イスラエルに対するボイコット、投資引上げ、制裁(BDS)を呼びかけた。

[8月23日]土曜日に、ホロコースト・サヴァイヴァーの公開書簡がニューヨークタイムズ紙に掲載されたことを受け、同書簡の作成に協力した反シオニズム・ユダヤ人国際ネットワークは[25日]月曜、記者会見を開催、書簡に署名した者たちの幾人かもこれに出席し発言、ガザ攻撃を批判した。

記者会見には、エディス・ベル(両親が強制収容所で死亡、自身も4つの収容所を経験)、スザンヌ・ウェイス(母親はアウシュヴィッツで殺され、自身はフランス人の農民に匿われた)、リリアン・カチェルギンスキー(父親のシュメルケはリトアニアの対独レジスタンスのユダヤ人戦士だった)らが出席。同じく会見には、ガザの2人のパレスチナ人、モナーデル・ヘルズッラーとハーニー・ジャマーフが家族とともに参加し、ホロコースト・サヴァイヴァーとその子孫たちの努力に対し、感謝の意を表明した。

同書簡には、40人のホロコースト・サヴァイヴァーと犠牲者の子孫287人が署名している。

「誰であれ、あれらの出来事[=ホロコースト]を、パレスチナ人を絶滅させる言い訳に使おうとする者に対し、私は怒りに駆られます」とベルは語る。彼女は、自分が強制収容所を生き延びることができたのは「ただ幸運だっただけ」と言う。

ニューヨークタイムズに掲載された書簡は、BBCやハアレツをはじめ、国際的にメディアの関心を集めることとなった。「ナチスによるジェノサイドのサヴァイヴァーとして、そして、サヴァイヴァーや犠牲者の子孫として、私たちは、ガザのパレスチナ人の集団虐殺と、現在も進行する歴史的パレスチナの占領と植民地化を明確に非難します」と書簡は述べる。「私たちは、ガザに対する封鎖を即時、終わらせることを呼びかけます。私たちは、イスラエルに対する全面的な経済的、文化的、学術的ボイコットを呼びかけます。二度と繰り返さないというのは、「二度と、誰の身にも繰り返さない」ということを意味しなければなりません!」

意見広告の掲載費は18,000ドル。そのための資金は署名者の何人かが提供した。

「私は、みなさんのこのような勇気ある発言を、みなさんがまさに心の底から語ってくださったことを讃えます」、USパレスチナ・コミュニティ・ネットワークのメンバーであるヘルズッラーは述べた。彼の家族は、いま、イスラエルとなっているところを追放され、難民となってガザにやって来た。「ホロコーストのサヴァイヴァーやその親族の方々がこのような勇気ある発言をされることを私は不思議には思いません……私たちの子どもたちや孫たちもともに、ガザで、そしてパレスチナの全土で、「二度と繰り返さない」という言葉が真に意味するのは、「誰の身にも二度と繰り返さない」ということだと学ぶことでしょう。」

公開書簡が[ニューヨークタイムズ紙に]掲載されることになったのは、イスラエルが、パレスチナ人に対する侵略的攻撃を正当化するのに、ホロコーストを利用していることに対して、ホロコースト・サヴァイヴァーやナチスの犠牲者の子孫たちが強い怒りを覚えたためだ。署名者の一人で、書簡の作成にも協力したドイツ系オランダ人の物理学者、ハヨ・メイェル博士は、アウシュヴィッツを生き延び、書簡がニューヨークタイムズ紙に掲載される前日に亡くなった。

メイェル博士は、イスラエルの辛辣な批判者だった。エレクトロニック・インティファーダのインタビューで同博士は、自分は「水晶の夜のあと、ビールフェルトの中学を辞めなければならなかった……だから私は、教育を続けることができないパレスチナ人の若者たちに、完全に自分を重ねることができるが、パレスチナ人の若者たちが教育を受けるのを不可能にしている犯罪者らに自分を重ねることなど、どうあってもできない」と述べている。

書簡は、ホロコースト・サヴァイヴァーであるエリ・ヴィーゼルに対しても抗議している。ヴィーゼルは、ニューヨークタイムズ紙に自身の意見広告を掲載し、ハマースに対し、「子どもを犠牲にすること」をやめるよう呼びかけ、また、イスラエル・パレスチナ紛争を「〈文明〉対〈野蛮〉の戦い」と表現した。

「エリ・ヴィーゼルの文章を読んで、私は文字どおり、吐き気がしました」と、マイア・エッティンガーは語る。彼女は母親と祖母が、ワルシャワ・ゲットーを抜け出し、ホロコーストを生き延びた。「ヴィーゼルの広告は、上から目線の、見え見えの投影行為です。真に野蛮なのは、[イスラエルの行っている]集団懲罰であり無差別爆撃の方なのですから」

国際反シオニズムユダヤ人ネットワークに寄せられた反応の多くは肯定的なものであったが、同ネットワークの電子メールアドレスには、暴力的なメッセージも届いたという。[イスラエルのオルタナティヴ情報サイト]+972マガジンのアミ・カウフマンが伝えるところによれば、イスラエル人の中には、自分のフェイスブックに、書簡に対する強い嫌悪を表明した者たちもいるという。

「ヒトラーがその仕事[=ヨーロッパ・ユダヤ人の殲滅]を完遂しなかったのは残念だ」と、アシェル・ソロモンという名のイスラエル人は述べている。カティ・モライはそれを受け、「こんなふうに考えるホロコースト・サヴァイヴァーなんか、ガス室にご招待して死んでもらいましょう」と続けている。

[翻訳:岡 真理]

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