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ガザの「焼却」を支持するイデオロギーに、ナチのイデオロギーがこだまする――シグマン

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京都の岡真理です。

先ほどお送りした、ホロコースト生還者らの公開書簡(続報)(40人のホロコースト生還者、パレスチナ人の「集団虐殺」を非難し、イスラエルに対するBDSを呼びかける)に続き、同じくホロコースト・サヴァイヴァーである、ノルウェーのユダヤ人、ヘンリー・シグマンの主張についてご紹介いたします。

紹介記事の著者、フィリップ・ウェイスが指摘しているとおり、シグマンは、ガザのパレスチナ人を見舞った悲劇を表すのに、「焼却(=焼かれて灰になること)」という言葉を多用しています。「焼却」とは、ガス室で殺されたユダヤ人の焼却、すなわちホロコーストの隠喩です。ホロコースト生還者であるシグマンが、パレスチナ人が被っている苦痛に「焼却」という言葉をあてることで、イスラエルの行っていることを、ナチスによるユダヤ人のジェノサイドと明確に結び付けている点に注目してお読みください。

平和構築リソースセンターのHPに掲載されたシグマンの文章の全文は以下でお読みになれます。
【PDFファイル】Gaza and the Palestinian Struggle for Statehood

ガザの「焼却」を支持するイデオロギーに、ナチのイデオロギーがこだまする――シグマン

フィリップ・ウェイス
Mondoweiss/2014年8月21日

ノルウェーの平和構築リソースセンターのヘンリー・シグマンの文章には驚きを禁じ得ない。シグマンはホロコーストを生き延びたユダヤ人だが、このユダヤ人指導者自身がかつて書いたものをさらに凌駕する内容だ。

シグマンは、占領下で、占領者の暴力にさらされている服属民の抵抗の権利を無条件に擁護し、パレスチナ人が1940年代にユダヤ人が行使したのと同じ抵抗権を行使するのは当然のことだと語る。

彼は、ガザの破壊について「ドレスデン」や「焼却」という言葉を用い、ユダヤ人は例外とするネタニヤフのイデオロギーをナチのイデオロギーと明示的に結び付ける。自分たちの「服属は永続的である」と言われている民族の抵抗権についてのシグマンの主張とは以下のようなものだ。

「占領国は、国際法のもとで以下の2つを行うことが義務となっている。ひとつは占領の終結であり、もうひとつは、占領が終わるまで、占領下の住民を保護することである。

イスラエルは、これらの義務の両方に、あからさまに違反している。イスラエルによる攻撃では毎回、戦闘員をはるかに上回る数の非戦闘員が殺害されている。イスラエルは自らの攻撃を正当化するために、自国市民の安全が脅かされていると言いたてるが、その脅威とは、自らの占領によって引き起こされているのである。

占領下のある民族が、占領者によってその服属が永続的であるとされ、また、その領土において民族的に自決することや主権をもった存在となることが、歴史的に継承された正当な権利であると国際社会によって承認されていながら、それらの権利を行使することが決して許されないとされているとき、占領下の民族は、自由を実現するために抵抗するあらゆる権利を有している。その権利には、暴力的抵抗も含まれる。なぜなら、彼らは、不法にも自分たちを占領下におく暴力に対して反応しているのであるからだ。それは、ユダヤ人が、自らの国家をもつために闘っていたとき、その闘いを阻止しようとする者に対して彼ら自身が行使した権利である。」

ここで彼はナクバ[イスラエル国家の建国にともなうパレスチナ人の民族浄化の悲劇のこと]と、リベラル派のシオニストの偽善について語る。リベラル派のシオニストは、イスラエルという国家を創設するためなのだからナクバ[=民族浄化]は正当化されると語りながら、今日、自決を求めるパレスチナ人に対してはそのような免責は認めないのだ。

「イスラエルの独立戦争において、武装したイスラエル軍によって行われた戦争犯罪の数々は、ベニー・モリスの『正しき犠牲者たち』(Righteous Victims)や、より最近の本では、アリ・シャヴィットの『わが約束の土地』などにまとめられている。両者とも、これらの犯罪がなければユダヤ国家はありえなかっただろうと主張し(証明されていない、疑わしい主張だ)、だからそれらの戦争犯罪を必要悪として容認しなければならないと論じる。いずれの著者も、そしてイスラエル人一般も、自らの民族独立と国家建設のために今なお闘っているパレスチナ人にその主張を拡張するつもりはないようだ。」

ここで、彼は、救世主的シオニズムがナチのイデオロギーを想起させると語る。

「自分たちにはイスラエルにおけるユダヤ人ならざる者、とりわけアラブ人を、占領し、抑圧し、その権利を剥奪する権利が神から与えられているのだと信じているイスラエル人があまりに多いように思われる。パレスチナ人はイスラエル国家をユダヤ人の歴史的祖国として承認しなければならないとネタニヤフ首相が強く主張するのも、この権利のゆえなのだ。

そうした考えはまた、以下のような事実を説明してくれる。人間の命の聖性と、人間が神の似姿として創造されたというユダヤの宗教的伝統を信奉しているはずの者たちが、罪なき者たちの破壊に対してかくも無情に反応するという事実だ。イスラエル人の実に80~90%が、ガザの、かくも大勢の非戦闘員がイスラエルによって焼きつくされるのを是認しているのである。彼らのふるまいを特徴づける、自分たちには[例外的にこうした行為をすることが]特別に許されているのだという感覚は、最終的にホロコーストへと至った[ナチスの]イデオロギーとこだまし合っている。たとえ彼らが、二度とホロコーストが起きないためにと言って自分たちの行為を正当化しようとして、ホロコーストの記憶を呼び覚ましているとしてもである。

世界のすべての民主主義のなかで、イスラエルは、国会議員アイェレト・シャケドがガザの住民のジェノサイドを主張しても、自らが属する政党「ハバイト・ハイェフーディ(ユダヤ人の家)」から除名もされなければ、国会から追放もされない唯一の国である……」

ここで彼は、イスラエルの孤立化がますます進行していること、そして、民族浄化とアパルトヘイトを必然的にともなう「二国家解決」という名のもと、イスラエルがパレスチナ人を閉じ込めるために建設した監獄について述べる。彼が「焼却する」という言葉を繰り返し使っていること、そして、その焼却の記憶ゆえにパレスチナ人は従属的地位に甘んじないのだと言っていることに注意してほしい。

「ガザでイスラエル軍によってなされた殺害と破壊の真のありさまが明らかになるにつれて、イスラエルは今や世界規模で高まりを見せる怒りの波──まだ、その頂点には達していないが──に直面し、ネタニヤフはまたも、アッバース[パレスチナ自治政府大統領]を和平のパートナーだと呼ぶのが都合がよいと見なしている。イスラエルの今回の「芝刈り」の犠牲者たちが、生きている者も死んでいる者も葬られている監獄の門番をやらせるには、アッバースはうってつけだからと……。

ネタニヤフは、二国家[解決]の成果に対するパレスチナ人と国際社会のフラストレーションと失望を利用して、イスラエルはパレスチナの不連続な飛び領土を創り出し、西岸の土地の多くをイスラエルに併合するという一方的な施策を推進することができると考えている。ネタニヤフが考えるに、それは、イスラエルに併合された地域に残っているわずかなパレスチナ人に名ばかりの「完全な市民権」を与えることで、イスラエルがアパルトヘイトの汚点を免れるための方法なのだ。

だが、彼は間違っている。そんなことは起こらない。あまりにも多くのパレスチナ人の母親たち、父親たち、兄弟たち、姉妹たちが、自分たちの愛する者が焼かれて灰になるのを目にしたのだ。彼らが、イスラエルがその民族浄化と、その結果としてのアパルトヘイトが生み出した結果を免れるなどということを許すことなどありえない。」

[翻訳:岡 真理]

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