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2016.10.25

【資料】国連人権理事会におけるイスラエル入植地ビジネスをめぐる最近の動き

Posted by:情報センタースタッフ

■2013年1月30日、国連人権理事会のイスラエル入植地に関する調査団、全入植地の撤退と入植地ビジネスの終結を要請する報告書(「A/HRC/22/63」)を公表。

【第96項】調査団によって集められた情報によれば、企業活動は直接的・間接的に入植地の建設と拡大によって可能とされ、推進され、そこから利益を得ている。前述したパレスチナ人労働者の権利侵害に加え、特定の人権侵害が懸念される多くの企業活動や関連事例を調査団は特定した。それらは次の諸点を含む。

○入植地と「壁」、それらの付随施設の建設および拡大を促進する機器や材料の供給

○入植地と「壁」、入植地に直結した検問所に対する監視・認証装置の供給

○家屋・財産の破壊、農地・温室・オリーブ畑・収穫物の破壊に用いられる機器の供給

○入植地で操業している企業へのセキュリティサービスや機器、材料の供給

○交通機関を含め、入植地の維持・存続を支えるサービスや事業の提供

○住宅や事業展開のためのローンを含め、入植地およびその活動の発展・拡大・維持を支援する銀行や金融活動

○営利目的による自然資源――とりわけ、水と土地――の利用

○パレスチナの村々への汚染物質や排水、廃棄物の投棄・移送

○パレスチナ人の金融市場・経済市場に対する拘束、また、移動制限や、行政的・法的な諸制限によるものを含めた、パレスチナ企業を不利にする諸実践

○入植地の発展・拡大・維持を目的とした、入植者が完全に、あるいは部分的に所有する企業による利益や再投資の活用

【第117項】民間企業は、自らの活動が人権に与える影響を評価し、国際法、並びに、「企業と人権に関する指導原則」に従い、パレスチナ人民の人権に悪影響を与えないようにするために必要とされるあらゆる手段――入植地から得られる企業利益を終結させることを含む――を講じなければならない。調査団はすべての国連加盟国に対し、入植地内、あるいは入植地に関係する形で活動を行っている企業が各々の国有・国営企業を含め、自分の領土内にあり、および/または、その司法権が及ぶ範囲内にあるときには、これらの企業が活動全体を通じて人権を尊重することを確保するために、適切な措置を講じるよう要請する。調査団は、人権理事会の「企業と人権に関する作業部会」がこの問題に取り組むことを勧告する。

■2013年3月22日、国連人権理事会が上記調査団報告書の内容を支持するフォローアップ決議(「A/HRC/RES/22/29」)を採択(賛成45、反対1、棄権1)。日本政府も賛成票。

【第1項】「東エルサレムを含む被占領パレスチナ領におけるパレスチナ人民の市民的・政治的・経済的・社会的・文化的権利に対してイスラエル入植地が及ぼす影響について調査するための独立国際真相調査団報告」を歓迎し、そこに含まれる行動要請の履行を各々のマンデートに従って実行し、確保することを国連機関を含む全ての関係者に対して求める。

■2014年3月28日、国連人権理事会がイスラエル入植地に関する決議(「A/HRC/RES/25/28」)を採択(賛成46、反対0、棄権1)。日本政府も賛成票。

【第11項】全ての国に、・・・

(b)東エルサレムを含む被占領パレスチナ領に関して、ビジネスと人権に関する指導原則を実施すること、同指導原則および関連する国際法並びに基準において期待される行為基準に従い、自国が所有するかあるいは自国により管理されるものを含む、自国領域および/または自国の管轄権の下に本拠地がある企業に奨励するための適切な措置を講じること、そして、パレスチナ人に対する甚だしい人権侵害を犯すかあるいは寄与することを慎むこと、

(c)個人と企業に対し、経済・金融活動や入植地におけるサービス提供、土地・建物の購入を含む、入植地に関わる活動に関わることに伴う、金融上及び風評上のリスク、法的なリスク、加えて個人に対する権利侵害の可能性についての情報を提供することを求める。

【第12項】国連機関を含む全ての関係者に対し、「東エルサレムを含む被占領パレスチナ領におけるパレスチナ人民の市民的政治的経済的社会的文化的権利に対してイスラエル入植地が及ぼす影響について調査するための独立国際真相調査団報告」に含まれ、人権理事会によって決議22/29を通じて承認された行動要請の履行を各々のマンデートに従って実行し、確保することを求める。

■2016年3月24日、国連人権理事会がイスラエル入植地に関する決議(「A/HRC/RES/31/36」)を採択(賛成32、反対0、棄権15)。

【第12項】全ての政府に対し、・・・(c)イスラエル入植地における/に利益を与える金融取引や投資、購入、物資調達、融資、サービス提供、その他の経済活動・金融活動を含めた入植地関連活動に関わることの金融上、風評上および法律上のリスク――甚大な人権侵害や、個人の諸権利の侵害に企業が関与することになる可能性を含む――について、個人および企業に指針を提供すること、企業と人権に関する指導原則の履行のための国別行動計画の作成に際し、企業に対してこれらのリスクを周知すること、そして、東エルサレムを含めた被占領パレスチナ領において企業活動を行うことの高いリスクについて、政府の政策、立法、規則、執行手段が効果的に対処することを確実にすることを求める。

【第17項】国連人権高等弁務官に対し、・・・前述の報告書第96項に詳述された活動に関与している全企業のデータベースを作成し、毎年更新し、そのデータを国連理事会第34回会期に報告書の形式で提出することを求める。

2015.08.16

「安保法案」に反対する中東研究者のアピール

Posted by:情報センタースタッフ

2015年8月10日、中東研究者らが、参議院議員会館にて記者会見を行い、「安保法案」に反対するアピールを発表しました。長沢栄治氏(東京大学)、黒木英充氏(東京外国語大学)、栗田禎子氏(千葉大学)、辻上奈美江氏(東京大学)、宮田律氏(現代イスラーム研究センター)、鶴見太郎氏(埼玉大学)らが発言しました。以下、「アピール」原文を掲載します。

【参考サイト】

「安保法案」に反対する中東研究者のアピール(動画) (IWJ 2015年8月10日)

安保関連法案:研究者ら「中東やアジアの信頼打ち砕く」 (毎日新聞 2015年8月10日)

戦争法案を廃案に:中東研究者アピール 「関係損ねる」 (しんぶん赤旗 2015年8月11日)


「安保法案」に反対する中東研究者のアピール

 わたしたちは、中東の政治・社会・歴史・文化等の研究に携わり、日本と中東の相互理解と友好のために努力してきた立場から、現在国会で審議中の「安全保障関連法案」には重大な問題があると考えます。

一 この法案は、自国が攻撃されていないにもかかわらず戦争に参加する「集団的自衛権」の行使を容認するなど、日本国憲法の掲げる平和主義の原則に明らかに違反しています。憲法9条に示されている戦後日本の平和主義は、日本が近代以降の対外拡張や侵略の歴史を反省し、戦争をしない国に生まれ変わる決意を表明したもので、これにより日本はアジアや世界の信頼をかちえてきました。とりわけ中東は、長く欧米による植民地支配や侵略に苦しんできた地域であるため、日本が経済大国ではあっても海外で一切の武力行使を行わない国になったことはきわめて好意的に受けとめられ、これが日本に対する中東の人々の友情・信頼感の基礎となってきました。平和憲法に反する今回の法案は、日本と中東、世界の諸国との関係を根本から損なってしまいます。

二 この法案は、日本とアメリカがアジア・太平洋だけでなく地球大で「切れ目のない」安保協力態勢を築くことをめざすもので、アメリカの戦争に世界中で協力するための法律と言えますが、この間アメリカ主導で展開されてきた大規模な戦争は実はもっぱら中東地域を対象とするもの(湾岸戦争・アフガニスタン戦争・イラク戦争)です。今回の法案も基本的にイラク戦争等をモデルケースとしつつ、自衛隊によるさらに踏み込んだ米軍支援ができる態勢づくりをめざしています。これは中東がアメリカの世界戦略上、経済的・軍事的に重要な地域であることによりますが、アメリカの戦争が中東地域および国際社会に何をもたらしたかは、現在のイラクやアフガニスタンの状況を見れば明らかです。大国による軍事介入が中東地域にもたらした悲劇・混乱に一切学ぶことなく、アメリカの戦争への協力態勢を一気に拡大しようとする政策は誤っています。

三 この法案では「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に際しては「集団的自衛権」の行使が認められるとされていますが、その具体例として繰り返し挙げられてきたのは、「ホルムズ海峡が封鎖された場合」です。日本は石油の大半を中東からの輸入に依存しているので、その供給が脅かされた場合に中東に自衛隊を送るのは当然だ、という説明なのですが、資源確保のためなら海外派兵するというのは、植民地主義・帝国主義の論理にほかなりません。日本国民の「くらし」や「幸福」を守るための「自衛」なのだと主張しても、中東の人々には反発されるだけでしょう。資源確保は重要ですが、それはあくまで中東の人々の主権を尊重し、日本と中東の間に対等・友好的な関係を築き上げることによってこそ可能となります。

 今回の法案は日本国民の「命とくらし」を守るためのものと説明されています。しかしながら、戦後日本外交の基本であった平和主義の原則を投げ捨て、大国主導の戦争に追随し、資源への自己中心的野心をむき出しにするような姿勢は、日本に対する中東やアジア、世界の民衆の批判・反発を呼び起こし、「国益」を損ない、むしろ日本の市民の生命と安全をこれまでにない危険にさらすことにつながっていくでしょう。

 以上の理由から、わたしたちは「安全保障関連法案」に反対し、同法案を廃案とすることを求めます。

2015年8月

呼びかけ人:赤堀雅幸(上智大学)、秋葉淳(千葉大学)、板垣雄三(東京大学名誉教授)、臼杵陽(日本女子大学)、岡真理(京都大学)、岡野内正(法政大学)、片倉邦雄(21世紀イスラーム研究会代表幹事)、私市正年(上智大学)、栗田禎子(千葉大学)、黒木英充(東京外国語大学)、小林春夫(東京学芸大学)、坂井定雄(龍谷大学名誉教授)、佐原徹哉(明治大学)、塩尻和子(筑波大学名誉教授)、塩尻宏(中東調査会参与)、設樂國廣(立教大学名誉教授)、鈴木規夫(愛知大学)、鷹木恵子(桜美林大学)、辻上奈美江(東京大学)、鶴見太郎(埼玉大学)、鳥山純子、長沢栄治(東京大学)、新妻仁一(亜細亜大学)、箱山富美子(日本モーリタニア友好協会会長・元国連職員)、八尾師誠(東京外国語大学名誉教授)、原隆一(大東文化大学)、平井文子(アジア・アフリカ研究所会員)、藤田進(東京外国語大学名誉教授)、水島多喜男(徳島大学)、嶺崎寛子(愛知教育大学)、宮治美江子(東京国際大学名誉教授)、宮田律(現代イスラム研究センター理事長)、山口昭彦(聖心女子大学)

賛同者:(略)

呼びかけ人・賛同者を併せ、計105名(8月10日現在)

2014.11.14

新・宇宙基本計画案に抗議のパブリック・コメントを!(11月21日まで)

Posted by:情報センタースタッフ

政府は、11月8日に新「宇宙基本計画」(素案)を発表し、宇宙協力における日米同盟強化の方向性を明確にしました。このことは、取りも直さず日本・米国・イスラエル間の軍事協力に直結する問題です。というのも、イスラエルにおける宇宙開発の中軸的機関であるイスラエル宇宙局は、1980年代からアメリカ航空宇宙国(NASA)と緊密な協力関係にあるからです。先月来日した イスラエル科学技術相ヤアコブ・ペリー は、「イスラエルは超小型衛星の開発にも力を入れている。日本の技術も進んでおり、両国の強みを生かした連携が可能だ」として、日本の民間企業や宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携を進める意向を示しています。JAXAのホームページでは、イスラエルの宇宙開発予算の大半が国防関連にあてられていることが指摘されています( JAXA:イスラエル宇宙局 )。安倍政権のもとで、日本の外交は急速に、パレスチナ人虐殺を遂行・支援する「対テロ同盟」に引きずり込まれつつあります。

内閣府では11月21日までパブリック・コメントを募集しているので、ぜひ意見を投稿してください。

【関連リンク】

【投稿例】

今回の新「宇宙基本計画」(素案)は、日米協力、しかも軍事協力の方面に極めて偏向している。平和利用、多極外交を原則に、素案を抜本的に見直すことが必要である。

素案では、日本周辺の「安全保障環境が一層厳しさを増」していることが指摘されている。しかし、その理由の一端には、中国・韓国・北朝鮮等、周辺アジア諸国に対し、「日本軍慰安婦」問題の解決努力放棄や靖国神社参拝等で挑発してきた安倍政権の外交姿勢がある。「領土問題」の根底にある歴史認識問題に向き合わず、日米宇宙協力を軍事面において強化することは、今後ますます中国をはじめとした周辺諸国との信頼関係を危うくするものである。長期的な日本の安全保障の観点から考えても極めてバランスを欠いた計画案だと言わざるを得ない。とりわけ、Xバンド防衛衛星の拡充等を通じた日米同盟の深化は、日本が独自の判断で外交政策を決定することを困難にし、文民統制を含めた民主主義の原則を損なう結果をもたらすことが懸念される。

また、素案では、「同盟国等」との衛星情報の共有が謳われている。アメリカとイスラエルが密接に軍事面での宇宙協力と情報共有を行っていることを考えれば、このことは、日米間だけでなく、日本・イスラエル間の軍事協力・情報共有をも意味することになる。中東における多くの戦争犯罪行為を繰り返し、「和平」を破綻させてきたこの2国と軍事関係を深めることは、日本と中東・イスラーム諸国との関係を危うくするものである。とりわけ、パレスチナやイランといった、日本が長年の友好関係を築いてきた地域・国を、イスラエルは一貫して軍事攻撃対象としており、そうした局面において日本の宇宙技術や情報が利用される道を開くことは、日本の外交に決定的なダメージを与えるものと考えられる。

とりわけ、イスラエルが西岸・ガザにおいてパレスチナ人に対する戦争犯罪を行っていることは繰り返し国連決議等によって指摘・批判されてきている。この夏にガザで行われた虐殺作戦を含め、イスラエルの違法な軍事行動において、軍事衛星による情報が大きな役割を果たしていることは明らかである。ガザ地区の封鎖や西岸地区における家屋破壊等の違法な集団懲罰においても、船舶の航行や家屋の増改築などパレスチナ人の生活を監視する役割を無人飛行機と共に衛星が果たしていると考えられる。日本がアメリカを通じてイスラエルの軍事的宇宙利用政策と協力関係をもつことは、日本がパレスチナ人に対する違法な戦争・占領政策に対し暗黙のうちに協力する立場に立つことを意味する。

このように、新「宇宙基本計画」(素案)は、日本・米国・イスラエルの軍事的一体化をもたらし、日本の外交戦略の幅を著しく狭めるだけでなく、東アジアならびに中東における公正な平和の可能性を著しく害する危険さえあると思われる。何のために宇宙開発が必要なのか、多様な立場の声が反映されるかたちで、抜本的な議論の見直しをはかるべきである。

2014.07.26

【メモ】急速に深まる日本とイスラエルの軍事・経済関係

Posted by:情報センタースタッフ

2008年2月 オルメルト首相来日。イスラエル経済ミッションが同行、日・イ合同ビジネス・フォーラム開催。

2008年5月 イスラエル軍、沖縄・米軍北部訓練場を視察。同訓練場でジャングル戦闘訓練の実施を検討。

2009年12月 経団連防衛生産委員会『イスラエルの航空宇宙・防衛産業』発行。「イスラエルの人々が、身をもって開発してきたシステムや装備品についての知識を得ることは、日本にとって今後大いに役立つと考える」(続橋聡事務局長)。

2010年5月 リーバーマン外相来日。この頃、イスラエルのマグナーBSP社が福島第一原発のセキュリティシステムを納入。マグナ―BSP社の主要な顧客は、イスラエル軍、イスラエル警察、イスラエル刑務局など。

2011年3月 イスラエル軍医療部隊、岩手県南三陸町に展開。

2011年9月 イスラエル・エコビジネス・フォーラム開催(大阪・東京)。違法入植地に灌漑システムを納入するネタフィム社などイスラエル企業16社が参加。( 関連記事

2011年9月 入植地産農産物の輸出を長年手がけてきたアグレスコ社倒産。資産整理の裁判に際し、日本の切花輸入会社クラシック社(東京)が取引継続を表明。ビッケル社が資産の大半を買収。( 関連記事

2011年10月 マタン・ヴィルナイ民間防衛相来日。

2011年11月 武器輸出三原則の緩和。

2012年2月 大阪商工会議所、イスラエル産業貿易労働省と「共同宣言」締結。

2012年2月 イスラエル・テクノロジー・デー2012(東京)。 「イスラエルのテクニオン大学と連携する富士通研究所の佐々木繁常務取締役が両国の関係強化のアイデアを示した。その中に一つに直行便の就航がある。今年にはエルアル・イスラエル航空が直行便を準備しているが、日本の航空会社の動きがない。・・・さらに、若い研究者の交流を広げるためには、大学同士の連携も重要だと指摘する。」(月刊ニューメディア、2012年4月号)。

2012年2月 バラク国防相来日。

2012年4月 神風防衛大臣政務官、イスラエル訪問、バラク国防相を表敬訪問。

2012年5月 玄葉外相、イスラエル訪問。ネタニヤフ首相と防衛協力について意見交換。

2012年6月 山谷えり子参議院議員、イスラエルの軍需企業IAIを見学。

2012年7月 イスラエル・セキュリティ・イン・ジャパン2012開催(東京)。( 関連記事

2012年8月 横浜市、テルアビブ‐ヤッフォ市との間で交流協力に関する共同宣言( 関連記事

2013年3月 イスラエルに輸出される次期主力戦闘機F35の共同製造への参画を武器輸出三原則の例外扱いとする閣議決定。( 関連記事

2013年10月 「東京国際航空宇宙産業展2013」「テロ対策特殊装備展2013」「危機管理産業展2013」にイスラエルの軍需・セキュリティ企業20社余りが参加。

2013年12月6日 特定秘密保護法成立(自民党インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチームに親イスラエル議員である山谷えり子や中山泰秀が参加)。( 関連記事

2013年12月9日 イスラエル・セミナー(大阪)。

2014年2月25日-3月1日 経団連ミッション20名イスラエル訪問(1993年、99年に続く3回目)。

2014年5月11-15日 ネタニヤフ首相来日。12日、首脳会談、日本・イスラエル共同声明発表。13日、ビジネス昼食会に180人参加。

2014年6月 イスラエル宇宙庁長官が初来日。

2014年7月5-9日 茂木経産相、イスラエル/パレスチナ訪問。日本・イスラエル・ビジネスフォーラム開催(エルサレム)、日本から27社50人が参加。R&D覚書署名。

2014年7月19-26日 岸副外相、イスラエル等、中東歴訪。

2014年7月31日 サムライインキュベート(代表取締役CEO:榊原健太郎)、テルアビブにコワーキングスペース「Samurai House in Israel(SHI)」を開設。

2014年10月 ヤアコブ・ペリー科学技術相来日、下村博文文科相と会談。

2014年11月 イスラエルの経済ミッション訪日。

2014年11月 第1回日・イスラエル・サイバー協議開催。

2015年1月18-20日 安倍首相、イスラエル訪問。

2015年6月24日 「Technion, Kyotoセミナー」開催。

2015年11月16日 「日本−イスラエル ビジネス交流フォーラム in 関西」開催(大阪)。

2015年12月16日 日本イスラエル投資協定「実質合意」の報道。

2016年1月26-27日 テルアビブで開催された「Cybertech 2016」に日本パビリオンが設けられ日本企業6社が参加。

2014.02.25

サイモン・ウィーゼンタール・センターは人権団体か? ―「アンネの日記」切り裂き事件との関連で

Posted by:情報センター・スタッフ

東京都内の公立図書館で昨年から今年にかけて「アンネの日記」をはじめとしたホロコースト関連の図書300冊以上のページが破られていることを多くのメディアが報じています。海外メディアでも報道され、24日には警視庁に捜査本部が設置されるなど、これまでにないパターンの「ヘイトクライム」の登場は、様々な方面に波紋を広げています。

参考) 「アンネの日記」事件と蔓延する歴史修正主義 国際世論から警戒される安倍政権 (IWJブログ、2014年2月23日)

現段階で犯人を憶測することは慎まなければなりませんが、事件が公けになる直前には、都知事選で60万票を獲得した田母神俊雄元航空幕僚長を支援した右翼団体「維新政党・新風」が「アドルフ・ヒトラー生誕125周年記念パーティ」を呼びかけていることが明らかになっており、今回の事件の背景に日本のレイシスト・グループがあると考えることは状況的に合理的な推論であるように思われます。

参考) ヒトラー生誕パーティー呼びかけ:田母神氏の支援者 (しんぶん赤旗、2014年2月14日)

実際、インターネット上では、「アンネの日記」を「『南京大虐殺』『従軍慰安婦』の嘘と同じ」だとし、「シモン・ヴィーゼンタール・センターのアブラハム・クーパーよ犯人を捜しているのなら探してみろ」と、まるで犯行声明であるかのような言説を堂々と掲載している「ネトウヨ」サイトも見受けられます。

参考) 米ユダヤ団体「当局は犯人特定を」 (民族の監視者:国家社会主義日本労働者党、2014年2月21日)

さて、ここで注意が必要なのは、このネトウヨ(もし犯人であればネトウヨという形容はそぐわないことになりますが)に言及されている「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(以下、SWCと略)です。2月20日にSWCは、今回の事件について抗議声明を発表し、日本の当局に「犯人を探す迅速な努力」を求めました。

参考) Wiesenthal Center Expresses Shock and Deep Concern Over Mass Desecrations of The Diary of Anne Frank in Japanese Libraries (SWC、2014年2月20日)

声明ではハフィントンポストが最初にこの事件を報じたとしていますが、この声明と相前後するかたちで、内外の主要メディアが一斉に報道を始めました。そうしたニュースにおいて、SWCはしばしば「ユダヤ人人権団体」として紹介されています。また、安倍政権が煽る日本の排外主義に危機感をもつ人びとの書いたブログなどにも、SWCについて反排外主義の立場に立つ団体であるかのように紹介している記事が散見されます。確かに、1995年に「ナチ『ガス室』はなかった」とする記事を掲載した雑誌『マルコポーロ』を廃刊に追い込んだことで有名なSWCは、反ユダヤ主義に対して闘う姿勢については一貫しているようです。

しかし、SWCがイスラエルによるパレスチナ人に対する人権侵害については、露骨に擁護する姿勢を取り続けていることは余り知られていません。例えば、2003年に日本の各地で行われた「シャヒード、100の命」展(第二次インティファーダの中で犠牲となったパレスチナ人を追悼する美術展)の開催に際し、SWCは、助成団体や会場提供団体に対し、「シャヒード」とは自爆犯やテロリストを含む概念であり、そのような企画に協力すべきでないとの、パレスチナ人に対する偏見・誤謬に満ちた抗議を行い、展示を中止に追い込もうと画策しました。この企画が「テロリズム」と無縁であることは、今も残っている公式HP( シャヒード、100の命―パレスチナで生きて死ぬこと )を見ても明らかです。

参考) LEADING JAPANESE COMPANIES CANCEL SPONSORSHIP OF ´SHAHEED 100 LIVES´ EXHIBIT (SWC、2003年9月4日)

また、2008年12月から翌年1月にかけて1400人以上のガザ住民が殺されたキャスト・レッド作戦の直後には、マーヴィン・ヒエルSWC会長が「テロリストとその支援者(であるガザ住民)には、彼らの残虐行為・過誤・沈黙について特別に褒章(VIP booty)を受けるような権利はない」と述べ、ガザ封鎖の中で緊急に求められていた国際支援の動きを非難するという、虐殺直後の厳冬下、極限状況にある住民への非情なまでの冷酷さを露わにしています。

参考) Gaza residents must learn that charity begins at home (Rabbi Marvin Hier、2009年2月1日)

それから1年後、継続するガザ封鎖によってもたらされている住民の人道的危機を国連や人道支援団体が必死で訴えているときにも、SWCは、「封鎖といえるようなものは行われておらず、ガザで飢えている人もいないし、住民が必要としている必需品はイスラエルからガザに運び込まれている」と述べ、オバマ大統領に封鎖の解除を求める下院議員の動きを阻止しようとしました。

参考) ガザの封鎖はガザの人々の健康を危機状態に晒し、医療サービス制度の機能を低下させている (国連人道問題調整官、AIDA(国際開発機関協会)、2010年1月20日)

参考) WIESENTHAL CENTER URGES US LAWMAKERS TO RECONSIDER GAZA “BLOCKADE” PROTEST TO PRESIDENT OBAMA (SWC、2010年2月4日)

また、SWCの排外主義を象徴するケースとして、彼らがエルサレムで建設を進めている「寛容の博物館」があります。その予定地には、ムスリム墓地の遺跡があります。12世紀、サラーハッディーンと共に十字軍と戦ったムスリムが埋葬されたとされ、以来丁重に保護されてきた墓地です。SWCは、墓地を守ってきたパレスチナ人らによる抗議を無視して遺跡を破壊し、博物館のオープンを強行することで、パレスチナの地におけるイスラム教徒の歴史を暴力的に消し去ろうとしています。

参考) Campaign to preserve Mamella Jerusalem Cemetery

ついでに言えば、SWCは、近年イスラエルで大きな社会問題となっている入植者を中核とする宗教右派グループによるパレスチナ人やアフリカからの難民に対するヘイト・クライムに対して、インターネット上で探す限り、抗議の声をまったく上げていません。むしろ、主たる批判の矛先は、パレスチナ人の権利回復を訴える非暴力運動である BDS(ボイコット・資本引揚げ・制裁)運動 に向けられているようです。

参考) Watch the video on Israeli racism The New York Times didn’t want you to see (Electronic Intifada、2013年10月18日)

参考) サイモン・ウィーゼンタール・センター:ソーダストリームを支援する「人権団体」 (「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーン)

さて、これでもSWCは「人権団体」の名に値する団体だといえるのでしょうか?「ユダヤ人/非ユダヤ人」といった民族・宗派の違いによって人権や命の重みが異なってはならないということは、まさにホロコーストの教訓のはずです。しかし、SWCは、普遍的人権概念ではなく、あくまでもパレスチナ人排除を前提としたシオニズム・イデオロギーをベースに活動をしているのです。

SWCの正体が理解しにくい理由は、何よりもSWC自身が日本においては、排外主義的シオニスト団体としての性格を表に出さない方針を取っていることがありますが、そもそも日本社会においては、日本人自身の「単一民族国家観」が投影された、反ユダヤ主義的、あるいはシオニズム的な一枚岩的ユダヤ民族観が流布してきたというも問題があります。ユダヤ人は(ずる)賢い、金持ち、二千年の流浪を生き抜く特殊な能力をもっている、といった陰謀論にもつながるステレオタイプです。現実の「ユダヤ人」には、シオニストもいれば、反シオニストもいます。民族的概念としてユダヤ人を自認するする人もいれば、宗教的概念として捉えている人もいます。その中間的な立場の人もいるでしょう。そして当然のことながら、ユダヤ系××人、ユダヤ教徒の△△人といった、重層的アイデンティティを生きている人が多くいます。そうした人間のアイデンティティのあり方として当たり前の多様性を理解せず、一枚岩的なユダヤ人アイデンティティを自明視する民族観においては、SWCなどのシオニスト組織による反ユダヤ主義と反イスラエルとの意図的混同を見破ることができないのです。

なお、SWCは、安倍首相の靖国参拝について「道徳的に間違っている」との声明を出しています。声明の内容は至極当然のことであるものの(A級戦犯のみを問題にしている点は微温的に過ぎますが)、その意図するところについてはイスラエルが国家ぐるみで進めている「ハスバラ」の一環として考えた方が良いでしょう。「ハスバラ」とは、イスラエルが国外で、大使館や諜報員、種々のシオニスト組織を通じて、自国の政策(とりわけ対アラブ・対パレスチナ政策)に賛同する世論を形成し、イスラエルの国際的イメージを向上させるために行う広報活動のことです。この場合、ターゲットとされているのは日本においてイスラエル批判の声が比較的浸透しているリベラル・左派層です。もし、SWCが日本の右傾化を本当に懸念しているのであれば、1990年代から「新しい歴史教科書をつくる会」による歴史修正主義運動の実働部隊を担い、小泉の靖国参拝(もちろん安倍のも)を称賛してきた 宗教右翼組織 とイスラエルとの長年にわたる癒着関係を断ち切るよう、働きかけるべきでしょう。「アンネの日記」を切り裂く行為が許されない行為であるのと同様に、サイモン・ウィーゼンタール・センターによるパレスチナ人に対する排外主義も許してはいけません。

参考) Simon Wiesenthal Center: PM Abe’s Visit to Yasukuni Shrine Morally Wrong (SWC、2013年12月26日)

参考) 安倍首相 靖国神社に参拝 歴史的瞬間に立ち合いたかった (河合一充くだん日記、2013年12月26日)

参考) イスラエル支援議員リスト (パレスチナ情報センター、2012年12月)

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