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2006.05.13

イスラエルのアラブ人排斥傾向

Posted by:情報センター・スタッフ

 つい先日 イスラエル・デモクラシー研究所 が発表した世論調査によると、82パーセントのイスラエル人がイスラエルの政治体制としては民主主義が最適であると考えているという(5月12日ハアレツ紙報道)。これは従来からの国家政体に関する問い、つまりユダヤ教原理(ユダヤ法)が支配する宗教国家なのか、あるいは、世俗的近代法による民主国家なのか、という問いに対して、圧倒的多数のイスラエル人は後者を好ましいと考えているということだ。
 だが同時にこの世論調査で明らかにされたのは、62パーセントのイスラエル人は、「イスラエル政府はアラブ系市民がイスラエルから移民をして出ていくように手だてを講じるべきだ」と考えているということだ。おそらく本音では実際にそう考えている人が多いだろうことは周知であった。このこと自体に驚きはない。
 それにしてもあきれるのは、8割の人間が、イスラエルはユダヤ教原理主義国家ではなく、民主国家である/あるべきだと考えているにもかかわらず、その国籍所持者であるアラブ人(イスラエル国籍のパレスチナ人)について、つまり国民の特定の集団について「国家が政策的に追放すべきだ」という、恐るべきレイシズムを公然と支持しているということだ。つまり、「民主的ユダヤ国家」という形容矛盾そのものの国是をまさに語っているとも言える。
 もしイスラエルが民主国家であるなら、アラブ系市民は100パーセントの権利が平等に保証されなくてはならない。しかし他方でイスラエル国家、ないしイスラエル国民のマジョリティは、自らをユダヤ人国家(ユダヤ教国家とまでは言わないが)とみなしている以上、ユダヤ人だけが本当の国民であり、ユダヤ人だけが享受できる特権を持つのは当然と考えている。これは、誰がどう見ても、矛盾でしかない。
 しかし国際社会は、「それは矛盾しているよ」と誰も指摘しないのだ。みんなわかっているのに、言わない、言えない。アメリカの後ろ盾があるからか。

 別の団体の行なった世論調査でも、イスラエルのユダヤ人が、アラブ人排斥の傾向を強めているというデータが見られた。ちょっと前の3月22日のハアレツ紙が報じたところでは、68パーセントものイスラエル国籍のユダヤ人が、「アラブ人(イスラエル国籍のアラブ・パレスチナ人)とは同じアパートに住みたくない」と考えている。また、46パーセントのユダヤ人が、自分の家にアラブ人が訪れるのを拒絶し、41パーセントが、娯楽施設などにおいてもユダヤ人とアラブ人の場所は分離すべきだと考えているという(およそ同数がそれには反対と答えているが)。
 さらには、63パーセントのユダヤ人が「アラブ人は治安と人口政策上の脅威である」とみなしており、34パーセントは、「アラブ文化はイスラエル文化よりも劣っている」と考えている。

 もちろんここで、誰を「ユダヤ人」とし、誰を「アラブ人(=非ユダヤ人)」とするかという線引きや、あるいは何を「アラブ文化」と規定し、何を「イスラエル文化」と規定するか(ここでは「ユダヤ文化」とは書いていなかったが)の線引きをするのかは、ひじょうに難しい問題をはらんでいる。
 だが、おそらく、こうした世論調査自体が(調査をする人もされる人もひっくるめて)、「ユダヤ/アラブ」という区分の絶対的なもの、自明のものとしていることだろう。調査団体はいずれもリベラルな立場からレイシズムへの傾斜に警鐘を鳴らしているが、しかし、調査結果がレイシズムに満ちているのではなく、調査そのものがレイシズムがすでに共有された基盤の上でなされていると言ってもいい。それほどまでに、アラブ・パレスチナ人排斥の傾向は強まっていると言える。

 なおこれらの調査結果を受けて、アラブ・パレスチナ人の国会議員らは、「国家の政策や教育がレイシズムに満ち満ちているその結果の現れだ」、として批判をしている。

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