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2010.05.20

金沢美術工芸大学に対しイスラエル大使館がベツァレル美術デザイン学院との交流を申し入れ

Posted by:情報センター・スタッフ

イスラエル大使館のヨナタン・ツァドカ1等書記官が、早稲田大学国際教養学部のゴラニ・ソロモン・エレズ助教とともに金沢美術工芸大学を訪れ、久世建二学長にエルサレムのベツァレル美術デザイン学院(Bezalel Academy of Arts and Design Jerusalem)との学生と教員の相互交流を申し入れたとのこと。

ツァドカ書記官は具体案として、金沢美術工芸大学の教員を視察に招くことを提案。久世学長は「とても光栄だ。早いうちに教員を視察に派遣したい」と話したという。


建学の理念」に「美の創造を通じて人類の平和に貢献する」と掲げる金沢美術工芸大学にとって、世界屈指の軍事力をもちいてパレスチナの占領を続け、人びとを占領地に閉じ込め、移動の自由を奪い、産業も教育も破壊し、占領地に入植地を作り、難民が自分たちの家に帰ることも許さず、日々パレスチナ人を殺し続けるイスラエルと交流するのは、はたして教育的にふさわしいことなのだろうか。

たとえば教育という面だけを見ても、パレスチナでは、イスラエルによって教育のシステムがずたずたに破壊されている。パレスチナ人には移動の自由がないため、行きたい学校を自由に選ぶこともできなければ、家の近くの学校であってもイスラエル軍が通学路を封鎖して通学できないこともしばしばある。通学路の途中にある検問所では、子供たちが銃を持ったイスラエル兵に毎日乱暴に扱われる。通学中に殴られたり殺されたりする子供たちもめずらしくない。産業が破壊されているため保護者に収入がなく、学費を支払えずに進学をあきらめる子供たちも大勢いる。幼い生徒が教室の中で殺されることすらある。爆撃によって学校が物理的に破壊されることもある。教育の機会を奪い、パレスチナ人の人間性を剥奪することで従順なパレスチナ人を増やすことは、イスラエルの政策のひとつとなっている。パレスチナでは教育が重要視され、パレスチナ人の多くが教育熱心であることはよく知られているが、だからこそイスラエルは、パレスチナの教育の破壊に熱心にならざるを得ない状況が続いている。放っておけば、パレスチナ人は熱心に教育を受けてしまうからだ。

また、イスラエル国内においても、教育の自由と機会の平等が与えられているのはユダヤ人だけで、イスラエル国内のパレスチナ人は、徹底した差別待遇を受けている。

金沢美術工芸大学の理念「美の創造を通じて人類の平和に貢献する」とは、教育をとおしてそのようなことが起こらない世界を作るという意味ではないのだろうか。このような現状を無視して大学がイスラエルと親しい関係を結ぶことは、学生に対してどのようなメッセージとなるだろうか。

たしかに、イスラエルから学ぶべきことはたくさんあるだろう。しかしその学びは、イスラエルを反面教師としたときにだけ得られるものだ。ホロコーストの悲劇をくり返さないためにナチスと親しくなるのではなく、ナチスを反面教師とするのと同様に。


これもまた、この手の話題にはつきものの、「これは政治的なこととは関係がない」という反論、あるいは話のすり替えがされるのかもしれない。

しかし、いつものことながらそれは反論になっていない。ここでは、それが政治的だから問題だとはいってないからだ。また、文化・芸術と政治との関係をどうこういっているのでもない。ここでの問いかけは、ひどいことをしている人がいて、ひどいことをされている人がいる、それを知って、金沢美術工芸大学はどうするのかということだ。ひどい事態が終わったほうがいいと思うのか、それが続こうと続くまいとそんなことは知らないと決めこんでイスラエルと親しくするのかということだ。あるいは、ひどいことなど起きていないと開き直るのかどうかということだ。

また、交流はイスラエルへの支持ではないというなら、逆に、では何ですかと問うしかない。支持はしないが親しくはするということなら、それがどのようなことなのか、ぜひその真意を聞いてみたい。イスラエルに対してもいうべきことはいい、毅然とした態度でのぞむというなら、ぜひやってみてくださいといいたいところだが、そのような態度は、イスラエル側が決して許さないだろう。イスラエルが求めているのは、対等な立場での交流ではなく、なにがあっても意見などしない、イスラエルに忠誠を誓えるパートナーだからだ。金沢美術工芸大学が従順でないなら、この話がご破算になるのは間違いない。

(イスラエルに従順でない者に対して、それはユダヤ人差別だ、反ユダヤ主義だとして責めるのは、イスラエルが世界各地で常にやっていることなので、もしそんなことになっても驚かないでください)


金沢美術工芸大学の学生や教職員のみなさん
保護者のみなさん
卒業生のみなさん
金沢美術工芸大学の経営者はじめ関係者のみなさんへ

どうか金沢美術工芸大学がイスラエルと相互交流することの意義について考え、大学側にみなさんの意見を伝えてください。また、大学がやろうとしていることを関係者に広く知らせてください。できれば、みなさんで話し合う場を持ってください。地元のマスコミにも意見を伝えてください。話し合いや学習会などのイベントを行うときは、それがどんな小さなものであっても、それを開催することをマスコミに伝えてみてください。

はっきりしているのは、金沢美術工芸大学がイスラエルになめらているということです。金沢美術工芸大学の関係者は、国際情勢など知らないだろうし、たいした意見も持っていないだろうし、何かに気づいたところでまともに意見を言うこともできないだろうと思われているからこそ、イスラエルのターゲットになっているのです。世界各地でイスラエル・ボイコットがさかんないま、敏感で慎重なイスラエル大使館が動いているということは、金沢美術工芸大学がそのように判断されているという証拠です。そのような事態に、何を勘違いしたか久世学長が「とても光栄だ」と語ったのは、おもしろエピソードとしもそこそこのネタですが、イスラエル大使館がバカにしているのは、学長だけではないことを考えると笑ってばかりもいられないと思います。

久世学長は「早いうちに教員を視察に派遣したい」と話したとのことですので、学長は乗り気のようです。早くしないと間に合わないかもしれません。

また、教育関係者をはじめこれに興味を持たれたみなさんも、ぜひ金沢美術工芸大学に意見を届けてください。

金沢美術工芸大学
920-8656 石川県金沢市小立野5-11-1
Tel:076-262-3531
Fax:076-262-6594
金沢美術工芸大学 メール問い合わせ窓口


【ニュース記事】

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現在、イスラエルの残虐で横暴な政策を止めるための地道な動きとして世界的な広がりを見せるイスラエル・ボイコット(イスラエルBDSキャンペーン)は、主にイスラエルの経済/ビジネスに揺さぶりをかけることでイスラエルの政策に影響を与えようとするものだが、お金の動きとは一見関係のないイスラエルとの学術的な交流や映画・音楽などの文化的な交流のボイコットも呼びかけられている。

イスラエルに対する文化ボイコット、学術ボイコット(アカデミック・ボイコット)は、交流を通じて行われるイスラエルのイメージアップのための宣伝工作を止めることを目指している。また、イスラエルとの交流を拒否すると宣言することで、あるいは拒否するよう提案し問題化することで、双方の関係者にイスラエルの現状を知らせ、また報道などを通じて世論を喚起し、イスラエルの政策に影響を与ることも目的とされる。

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