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ネトゥレイ・カルタ

Posted by:早尾貴紀

Neturei Karta
netureikarta.org

 反シオニズム、反イスラエル国家という立場は、アラブ・パレスチナの側にばかりあるわけではありません。シオニズムほど反ユダヤ教的なものはないとする、ひじょうに敬虔なユダヤ人たちがいます。ユダヤ人の離散状態(ディアスポラ)を人為的に終わらせユダヤ人国民国家を建設しようとするのがシオニズム運動ですが、その人為性は神の意志に反するというわけです。
 終末論によれば、そもそも古代のエルサレムの神殿の崩壊や、バビロン捕囚によってもたらされた「ユダヤ人離散」は、神から受けた追放のことであり、その追放・離散(ディアスポラ)が終わりを迎えてイスラエルが復活するのは、神の意志によるしかないわけです。それがいつのことになるのかは、人間が知ることもできないし、また人為的にそれを早くもたらすこともできない、というのが敬虔な思想の立場です。
 それに対して、政治力と軍事力でもってユダヤ人国民国家を建国し、世界のユダヤ人をそこに集めることで、ディアスポラを終わらせようというのがシオニズムですから、これはユダヤ教の冒涜であるということになります。シオニズムを批判する思想的立場をとるユダヤ人はいろいろといますが、その中でもとくに過激なのが「ネトゥレイ・カルタ」です。彼らは、積極的にシオニズム・ユダヤ人国家を否定するために活動をしています。
 中でもすごいのが、PLOとの協力関係。彼らは、来るべきパレスチナ国家のために、イスラエル対策のアドバイザーになっているのです。もちろん彼らは、人為的ユダヤ国家イスラエルを承認しませんから、ユダヤ人の「帰還」=国籍取得も認めません。エルサレム訪問をすることはあっても、イスラエル通貨のシェケルの使用を拒否してドル払いで通します。
 そして、極めて興味深いのが、現代ヘブライ語の拒否。ネトゥレイ・カルタのサイトを見てください。多言語サイトになっていて、英語以外に、アラビア語、ロシア語、スペイン語、フランス語、ペルシャ語、、、とありますが、ヘブライ語サイトがない! これはどういうことかと言えば、神聖な神の言語であるヘブライ語は、世間で駄弁るような世俗言語ではないというわけです。現代ヘブライ語は、シオニズム運動とともに、古代聖書ヘブライ語から人工的につくられた言語です。近代国語として使用に耐えうるように、アラビア語や欧米語からもさまざまな単語を取り入れ、20世紀を通して国語化していった世俗言語です。これもまた近代国民国家イスラエルと同様に、ネトゥレイ・カルタからすれば、ユダヤ教の冒涜になります。おそらく、そういう理由でヘブライ語サイトは設けていないのでしょう。

(なお、このサイトの存在は、国立民族学博物館総合研究大学院の赤尾光春氏に教えていただきました。記して感謝します。)

ネトゥレイ・カルタ (Neturei Karta)

2004.03.28

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